「眼鏡の度数があるから、コンタクトもすぐ作れると思っていた——」
眼鏡からコンタクトへの切り替えを考えているとき、多くの方が最初にぶつかる壁があります。
「眼鏡の処方箋があればコンタクトも買えるんじゃないの?」
「度数って、眼鏡とコンタクトで同じでしょ?」
「眼科にまた行かないといけないの?面倒くさい……」
実はこれ、全部「よくある勘違い」です。
眼鏡とコンタクトレンズは、同じ「視力を矯正するもの」でも
度数の考え方がまったく違います。
眼鏡の処方箋を持ってコンタクトを注文しても
見え方がおかしかったり、目に負担がかかったりすることがあるのはそのためです。
わたしがコンタクトショップで検査員として働いている中で
「眼鏡の度数と同じで注文したら全然見えなかった」
「なんとなく選んだらずっと目が疲れる」 というお客様が本当に多くいます。
でも、ちゃんと順番通りに進めれば、このトラブルは全部防げます。
この記事では、「なぜ眼鏡とコンタクトで度数が違うのか」という理由から
「自分に合った度数の調べ方」「失敗しないレンズの選び方」まで
眼鏡ユーザーが初めてコンタクトに切り替えるために必要なことを丸ごとお伝えします。
「眼鏡からコンタクトに変えたい」という気持ちがあるなら
この記事が背中を押す一冊になるはずです。
- 眼鏡とコンタクトで度数が違う「物理的な理由」
- 眼鏡の処方箋からコンタクトの度数を「換算する方法」
- 初めてのコンタクト、眼科でのスムーズな受診の流れ
- 眼鏡ユーザーが初めてコンタクトを選ぶときの「失敗しないポイント」
- 眼鏡とコンタクトを「上手に使い分ける」ライフスタイルの作り方
ー この記事を書いた人 ー

ゆずあん
(通信販売コンタクトレンズ情報 運営者)
PROFILE
・コンタクトレンズショップに勤務
・コンタクトレンズの情報や購入方法を紹介
・わたし自身もコンタクトレンズを使用中
・自称 コンタクトレンズプロフェッショナル
「眼鏡とコンタクトは度数が同じ」——その思い込みが一番危ない
眼鏡からコンタクトへの切り替えでトラブルが起きる原因の9割は
この一つの誤解から始まります。
「眼鏡の度数=コンタクトの度数」
なぜこれが間違いなのか。
物理的な理由をできるだけわかりやすくお伝えします。
「頂点間距離」が度数の差を生む
眼鏡のレンズは、顔から約12mm離れた位置にあります。
一方コンタクトレンズは、目の表面に直接乗せるものです。
この「レンズと目の距離の差」のことを頂点間距離(ちょうてんかんきょり)と呼びます。
レンズが目から離れているほど、同じ「見え方」を実現するために必要な度数は変わってきます。
特に近視が強い方(-4.00D以上)や遠視の方は、この差が大きく出やすいため
眼鏡の度数をそのままコンタクトに使うと「度が強すぎる・弱すぎる」という問題が起きやすいのです。
具体的にどれくらい違う?
以下は、眼鏡の度数とコンタクトの度数の「おおよその換算」を示した表です。
あくまでも目安ですが、参考にしてみてください。
| 眼鏡の度数 | コンタクトの目安度数 | 差のイメージ |
|---|---|---|
| -1.00〜-3.00 | ほぼ同じ | ほとんど差なし |
| -3.25〜-4.75 | -0.25程度弱める | やや調整が必要 |
| -5.00〜-6.75 | -0.50程度弱める | 明確な調整が必要 |
| -7.00以上 | -0.75〜-1.00程度弱める | 必ず眼科で確認 |
この表はあくまで参考値です。
実際には乱視の有無・角膜の形・涙の量など個人差があるため
必ず眼科で専門家に確認してもらうことが必要です。
ゆずあん「-3.00より弱い近視なら眼鏡と同じ度数でいい」と思っている方も多いですが、それでもBCやDIAはコンタクト専用の数値が必要です。度数だけ合っていてもBCが合っていなければ、目への摩擦・充血・ゴロゴロ感の原因になります。やはり眼科でのフィッティングが大前提です。
眼鏡の処方箋の「読み方」を知っておこう
眼科に行く前に、今持っている眼鏡の処方箋の内容を理解しておくと、受診がスムーズになります。
処方箋に書かれている項目とその意味を確認しておきましょう。
眼鏡処方箋の主な記載項目
| 記載項目 | 意味 | コンタクトとの関係 |
|---|---|---|
| SPH(球面度数) | 近視・遠視の度数。マイナスが近視、プラスが遠視 | コンタクトのPWR(度数)に相当するが換算が必要 |
| CYL(円柱度数) | 乱視の度数 | 乱視用コンタクトが必要かどうかの判断材料 |
| AXIS(軸度) | 乱視の方向を示す角度(0〜180度) | 乱視用コンタクトのAXIS指定に使用 |
| PD(瞳孔間距離) | 左右の瞳の中心間の距離 | コンタクトには不要な数値 |
| ADD(加入度数) | 遠近両用の近くを見るための追加度数 | 遠近両用コンタクトが必要かの判断材料 |
眼鏡処方箋でわかること・わからないこと
眼鏡の処方箋からわかるのは、主に「近視・遠視・乱視の度合い」です。
しかし、コンタクトに必要なBC(ベースカーブ:レンズの曲率) と DIA(直径) は
眼球の形を直接測定しないと決まりません。
つまり眼鏡の処方箋からは、コンタクトの「度数の参考値」はわかっても
「BC・DIA」はわからないのです。
この2つを正確に決めるためには、やはり眼科でのコンタクト専用の検査が必要になります。
「乱視がある場合」は特に注意——乱視用コンタクトが必要かどうかの見極め方
眼鏡を使っている方の中には、乱視の矯正が入っている方も多いです。
乱視があるからといって、必ずしも乱視用コンタクトが必要というわけではありません。
ここは現場でも特によく質問される部分なので、丁寧にお伝えします。
乱視の度数が「軽度」なら通常のコンタクトで対応できることも
乱視のCYL(円柱度数)が-0.75D以下程度であれば
通常の球面コンタクト(乱視用でないもの)でも見え方にそれほど影響が出ないケースがあります。
一方、CYLが-1.00D以上の場合は乱視用コンタクト(トーリックレンズ)の使用をおすすめすることが多いです。
ただしこれも個人差があり
同じ-1.00Dでも気になる方・気にならない方がいます。
「どっちがいいか判断できない」と感じたら
眼科で試し装用をして判断してもらうのが最も確実です。
乱視用コンタクトを使う場合の注意点
乱視用コンタクト(トーリックレンズ)には
通常のレンズにはないAXIS(軸度)という数値が加わります。
この軸度がずれると、乱視矯正の効果が発揮されないため
眼科でのフィッティングが特に重要です。
また、乱視用レンズは通常レンズより価格が高めになる場合が多いため
費用面も含めて眼科の先生と相談してみましょう。
眼科でコンタクトの処方を受ける「スムーズな受診の流れ」
眼鏡ユーザーが初めてコンタクトの処方を受けるとき
何を準備して・何を伝えれば効率よく進められるのかをお伝えします。
受診前の準備チェックリスト
- [ ] 現在使っている眼鏡を持参する(フィッティングの参考になる)
- [ ] 眼鏡の処方箋があれば持参する(度数の参考になる)
- [ ] 健康保険証を持参する
- [ ] 受診費用として3,000〜5,000円程度を用意する
- [ ] 「コンタクトレンズの処方を希望している」と予約時または受付時に伝える
受診当日の流れ
① 問診
コンタクトを希望する理由・眼鏡の使用歴・アレルギーの有無・ドライアイの傾向などを問診票に記入します。
「眼鏡からの切り替えが初めて」「乱視があるがどのレンズがいいか迷っている」など、正直に伝えましょう。
② 視力・屈折検査
裸眼視力と矯正視力を計測し、近視・遠視・乱視の度合いを機械で測定します。
③ 眼圧・細隙灯検査
目の健康状態を確認する検査です。角膜の形・大きさ・傷の有無なども確認します。
この検査でBC(ベースカーブ)の候補が絞られます。
④ トライアルレンズの装用・フィッティング確認
実際にコンタクトを目に入れて、見え方・フィット感・目との相性を確認します。
「なんとなくゴロゴロする」「遠くがくっきり見えない」など、感じたことはその場で遠慮なく伝えてください。
⑤ 処方箋の発行
フィッティングに問題がなければ、コンタクト専用の処方箋が発行されます。
PWR・BC・DIA(乱視用の場合はCYL・AXISも)が記載されます。
眼科で絶対に聞いておきたい4つのこと
わたしが現場で「もっと早く知っておけばよかった」とお客様に言われることが多い質問をまとめました。
- 「乱視用レンズは必要ですか?」(乱視の度数が微妙なラインの方)
- 「1DAYと2WEEK、わたしの目にはどちらが向いていますか?」
- 「ドライアイや角膜の状態に問題はありますか?」
- 「このBC・DIAで通販購入しても問題ないですか?」
遠慮せずに聞くことが、長く快適にコンタクトを使い続けるための一番の近道です。
眼鏡ユーザーが初めてコンタクトを選ぶときの「失敗しない5つのポイント」
処方箋を手にしたら、いよいよレンズ選びです。
眼鏡からの切り替え初心者が特につまずきやすいポイントを5つにまとめました。
ポイント①「まず1DAYから始める」が鉄則
眼鏡からコンタクトに切り替えるとき、最初は必ず1DAY(ワンデー)から始めることをおすすめします。
理由は3つあります。
1つ目はケアが不要なこと。
2WEEKや1MONTHはレンズのこすり洗い・保管が毎日必要ですが、1DAYはつけたら捨てるだけ。
コンタクト初心者にとってこのシンプルさは非常に大切です。
2つ目は「コンタクトが自分に合うかどうか試せる」こと。
慣れる前に2WEEKのまとめ買いをして「やっぱり合わなかった」となると、経済的にも精神的にももったいないです。
3つ目は衛生的なこと。
毎日新しいレンズに交換するため、汚れの蓄積がなく目への負担が少ない。
初めての方の目には特に優しい選択肢です。
ポイント②「シリコーンハイドロゲル素材」を選ぶ
素材の選択は、長期的な目の健康を左右します。
初めてコンタクトを使う方の目は、まだコンタクト装用に慣れていない状態です。
だからこそ酸素透過率(Dk/t)が高く
目への負担が少ないシリコーンハイドロゲル素材を選ぶことをおすすめします。
「最初は安いレンズでいい」と考える方も多いですが
安価なレンズは非シリコーン(従来型ハイドロゲル)が多く、酸欠・乾燥・充血のリスクが高まります。
目が慣れていない最初の段階こそ、いいレンズを選ぶべきというのが
現場で何年も働いてきたわたしの本音です。
ポイント③「まず1箱だけ」試してからまとめ買い
「せっかく通販で買うなら安くまとめ買いしたい!」
という気持ちはよくわかりますが、初めてのレンズは1箱だけ試してからまとめ買いにしましょう。
処方箋通りに注文したとしても、実際に使ってみると
「思っていたより乾く」「見え方が合わない気がする」というケースがゼロではありません。
まずは1〜2週間使って「これだ!」と確信してからまとめ買いするのが
賢いコンタクトデビューの方法です。
ポイント④「装用時間は短めから慣らす」
眼鏡ユーザーが最初にコンタクトをつけると、目が「異物感」を覚えることがあります。
これは目がコンタクトに慣れていないだけで、異常ではありません。
最初の1週間は1日4〜6時間からスタートして、徐々に延ばしていくのがおすすめです。
「最初から8時間つけようとして、夕方には限界だった」
という方が多いので、焦らず慣らすことが長続きの秘訣です。
ポイント⑤「眼鏡とコンタクトを両方持つ」ことを前提にする
コンタクトを始めたからといって、眼鏡を捨てる必要はまったくありません。
むしろ眼鏡とコンタクトを状況によって使い分けることが、目の健康を長く守る最善策です。
- 外出・おしゃれをしたい日 → コンタクト
- 在宅ワーク・休日のリラックスタイム → 眼鏡
- 目が疲れている日・体調が悪い日 → 眼鏡
- 旅行・スポーツ → コンタクト
この「ハイブリッド運用」を意識するだけで
コンタクトの消費ペースが落ち、年間のコンタクト代を抑えられるだけでなく
目への負担も大幅に減ります。
よくある質問(Q&A)——眼鏡からの切り替えで迷いやすいギモン
Q. 眼鏡の度数が強いと、コンタクトの度数と差が大きくなるの?
A. 一般的にはYesです。
眼鏡の度数が-4.00D以上の近視の方は、コンタクトの度数が眼鏡より少し弱い数値になることが多いです。
これは「頂点間距離」の違いによるもので、異常ではありません。
眼科でフィッティングを受ければ、自分に合った正しい度数を処方してもらえます。
Q. 眼鏡のPD(瞳孔間距離)はコンタクト選びに必要?
A. 不要です。
PDは眼鏡のレンズを鼻の中心からどの位置に配置するかを決める数値で、コンタクトには関係ありません。
コンタクトは目に直接乗せるため、PDの概念がそもそも存在しないのです。
Q. 乱視があってもカラコンは使える?
A. 使えます。
ただし選択肢が限られます。
乱視が軽度(CYL -0.75D以下程度)であれば、通常のカラコンでも問題ない場合があります。
乱視が強い方向けの「乱視用のカラコン」という選択肢もありますが
ラインナップがまだ限られているのが現状です。
眼科で「乱視用があるがカラコンをつけたい」と相談してみてください。
Q. コンタクトを始めると視力がさらに悪くなる?
A. 正しく使えば、コンタクト自体が視力を悪化させることはありません。
ただし、度数が合っていないレンズを使い続けたり、装用時間を守らなかったりすると
目への負担が蓄積して視力に影響が出ることがあります。
定期的な眼科検診と正しい使用習慣が、視力を守る一番の方法です。
Q. 眼鏡とコンタクトで度数が違うと、混乱しない?
A. 最初は戸惑う方もいますが、すぐに慣れます。
「眼鏡はSPH -3.00、コンタクトはPWR -2.75」のように、それぞれの処方箋に別々の数値が書いてあるだけです。
通販で注文するときは「コンタクト用の処方箋の数値」をそのまま使えばOKです。
まとめ:眼鏡からコンタクトへの切り替えは「正しい知識」があれば怖くない
この記事でお伝えしてきたことを、最後に整理します。
眼鏡とコンタクトは、度数の考え方がまったく違います。
その理由は「頂点間距離」
——眼鏡はレンズが目から約12mm離れているのに対し、コンタクトは目の表面に直接乗るからです。
だからこそ、眼鏡からコンタクトへ切り替えるときは、
- まず眼科でコンタクト専用の検査・フィッティングを受ける
- BC・DIA・乱視の有無を含めた正しい処方箋をもらう
- 最初は1DAYのシリコーンハイドロゲルで慣らす
- まず1箱だけ試してから、通販でまとめ買いに切り替える
- 眼鏡とコンタクトを上手に使い分けて、目への負担を分散させる
この5ステップが、失敗しないコンタクトデビューへの最短ルートです。
「眼鏡があるからコンタクトはすぐ作れる」という思い込みから
「ちゃんと専門家に診てもらって、自分の目に合ったレンズを選ぶ」
という正しいスタートに切り替えることが
コンタクトライフを長く・快適に続けるための一番の土台になります。
眼鏡ユーザーのみなさんのコンタクトデビュー、わたしが現場から全力で応援しています!
「まず眼科の予約を入れてみる」
——今日の第一歩は、それだけでいいんです。
「眼鏡からコンタクトに切り替えました!」「この記事のおかげで踏み出せた」など、ぜひ教えてくださいね♪
みなさんの声がわたしの励みになります!


