「シリコーンハイドロゲルを選んで」って言われ続けてきたけど、それって何?現役検査員がコンタクトの素材を一から全部解説します

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「シリコーンハイドロゲルを選んで」——コンタクトの記事でよく見るこの言葉、正直よくわかっていませんでした」

こんな方、実はとても多いんです。

「シリコーンハイドロゲルって、何がいいの?」
「普通のコンタクトと何が違うの?」
「なんとなく良さそうだから選んでいるけど、理由がわからない」
「高いから選んでいないけど、本当に必要?」
「自分のコンタクトがシリコーンハイドロゲルかどうかもわからない」

コンタクトを選ぶとき「シリコーンハイドロゲルを選びましょう」という言葉を目にした方は多いはずです。 でも「なぜシリコーンハイドロゲルなのか」という理由まで理解している方は意外と少ないんです。

わたしはコンタクトショップで現役の検査員として10年以上働いていますが、「シリコーンハイドロゲルって普通のコンタクトと何が違うんですか?」という質問を毎日のように受けます。

この質問に対してわたしが感じるのは——

「素材を知れば、コンタクト選びが根本から変わる」

ということです。

「なんとなく高機能そうだから」「乾きに強いと書いてあったから」という選び方から、「自分の目の状態にシリコーンハイドロゲルが必要な理由がわかっているから選んでいる」という選び方に変わる。

この違いが、コンタクトライフの快適さを大きく左右します。

この記事では、シリコーンハイドロゲルとは何か・なぜ目に優しいのか・従来素材との違い・向いている方・向いていない方まで、現役検査員がゼロから丁寧に解説します。

読み終えたあと、コンタクトのパッケージを見る目が変わるはずです。

この記事でわかること
  • シリコーンハイドロゲルとは何か——仕組みと特徴
  • 従来型ハイドロゲルとの「6つの違い」
  • 酸素透過率(Dk/t)の意味と重要性
  • シリコーンハイドロゲルが「向いている人」「向いていない人」
  • 主要ブランドのシリコーンハイドロゲルレンズ比較
  • 「高いから選ばない」は本当にお得なのか

目次

そもそも「コンタクトの素材」には何がある?——基礎から整理する

シリコーンハイドロゲルを理解するために、まずコンタクトレンズの素材の全体像を整理しておきましょう。

ソフトコンタクトの素材は大きく2種類

① ハイドロゲル(従来型・非シリコーン)

水分を含ませることで柔らかくしたプラスチック素材です。 1971年に開発された最初のソフトコンタクトレンズから使われてきた「従来の素材」です。

水分を多く含むことで柔軟性を出しており、酸素は「水分の中を通って」角膜に届けられます。 水分=酸素の通り道という仕組みのため、含水率が高いほど酸素透過率が上がりますが、その分水分が蒸発しやすくなるというジレンマがあります。

② シリコーンハイドロゲル(進化型)

シリコーン素材にハイドロゲルを組み合わせた、1990年代後半に登場した「次世代の素材」です。 シリコーンは水分を含まなくても酸素を直接通す特性があります。 水分に頼らずに酸素を通せるのがシリコーンハイドロゲル最大の特徴です。

「素材」がなぜ重要なのか

コンタクトの素材は、以下のすべてに影響します。

  • 角膜への酸素供給量(酸素透過率)
  • レンズの乾燥しやすさ
  • 汚れの付着しやすさ
  • 目への異物感・装用感
  • 長期的な目健康への影響

「どのブランド・デザインを選ぶか」より「どの素材を選ぶか」の方が、目の健康に対する影響が大きいのです。

ゆずあん

「A社のコンタクトとB社のコンタクト、どちらがいいですか?」という質問を受けることがありますが、わたしはいつも「素材がどちらかを先に確認させてください」と答えています。ブランドより素材の違いの方が、目への影響がはるかに大きいからです。


シリコーンハイドロゲルvs従来型ハイドロゲル——「6つの違い」を徹底比較

違い①「酸素透過率(Dk/t)——最も重要な違い」

  • 従来型ハイドロゲル:Dk/t 10〜50程度
  • シリコーンハイドロゲル:Dk/t 60〜200程度

この差は最大で10倍以上。角膜への酸素供給量が桁違いに異なります。

酸素透過率(Dk/t)とは何か

Dk/tはコンタクトレンズを通じて角膜に届く酸素の量を示す数値です。

  • D(拡散係数):素材の酸素を通しやすさ
  • k(溶解係数):素材が酸素をどれだけ溶かせるか
  • t(厚み):レンズの厚み

この値が高いほど、角膜により多くの酸素が届きます。

なぜ酸素が重要なのか

角膜には血管がなく、空気中の酸素を直接取り込んで生きています。 コンタクトをつけることで酸素供給が制限されますが、Dk/tが高いレンズはその制限を最小化できます。

酸素が不足すると

  • 充血(血管拡張)
  • ドライアイの悪化
  • 角膜血管新生(血管が角膜に侵入)
  • 感染リスクの上昇

「含水率と乾燥しやすさ」

従来型ハイドロゲルシリコーンハイドロゲル
一般的な含水率38〜75%(高め)24〜56%(低め)
酸素の通し方水分を通して酸素を運ぶ素材自体で酸素を通す
乾燥しやすさ高い(水分が蒸発する)低い(水分に依存しない)

「高含水=うるおう」の誤解

含水率が高いレンズは最初はしっとり感がありますが、使用時間が長くなるほど水分が蒸発していきます。 水分が蒸発すると、レンズ自体が目から水分を「引き出して」補おうとします。 これが夕方になるほど目が乾く原因のひとつです。

シリコーンハイドロゲルは水分に依存しないため、長時間使用しても乾燥しにくいのが大きなメリットです。


違い③「汚れの付着しやすさ」

従来型ハイドロゲルはイオン性素材が多く、タンパク質(涙の成分)と反応して汚れが付着しやすい傾向があります。

シリコーンハイドロゲルはノンイオン性またはイオン性の両方がありますが、全体的に汚れへの対応が改善されています。 さらに各メーカーが開発した表面コーティング技術(Hydra-PEG・Smart Surfaceなど)によって、汚れの付着を抑える工夫がされています。

汚れが少ないことで

  • アレルギー反応が起きにくくなる
  • GPC(巨大乳頭結膜炎)のリスクが下がる
  • 視界がクリアに保ちやすくなる

違い④「長時間装用への対応力」

従来型ハイドロゲル(Dk/t 30程度)を10時間以上装用し続けると、角膜の酸欠状態が深刻になります。

シリコーンハイドロゲル(Dk/t 100以上)なら、長時間装用でも角膜への酸素供給が確保されやすく、疲れ・充血・ドライアイの悪化が抑えられます。

1日10時間以上コンタクトをつける方には、シリコーンハイドロゲルが特に重要です。


違い⑤「感染症リスク」

酸欠状態の角膜は免疫機能が低下し、細菌・アカントアメーバへの抵抗力が落ちます。 高酸素透過率のシリコーンハイドロゲルを使用することで、角膜の免疫機能を保ちやすく、感染症リスクを下げる効果があります。

ただし「シリコーンハイドロゲルを使えば感染症にならない」ではありません。 衛生管理・ケアの徹底は素材に関わらず必須です。


違い⑥「価格」

従来型ハイドロゲルシリコーンハイドロゲル
1箱あたりの価格目安(両眼・30枚入り)2,000〜4,000円4,000〜10,000円
相対的な価格安い高め

シリコーンハイドロゲルは従来型より1.5〜3倍程度価格が高くなります。 ただし「高いから選ばない」が本当に正しい判断かどうか、順番に解説します。


シリコーンハイドロゲルの「3つのタイプ」——すべて同じではない

シリコーンハイドロゲルといっても、メーカーや設計によってさらに3つのタイプに分けられます。

タイプ①「標準シリコーンハイドロゲル」

最も一般的なシリコーンハイドロゲルです。 シリコーンとハイドロゲルを組み合わせた素材で、Dk/t 80〜100程度が多いです。

代表的なレンズ: マイデイ(クーパービジョン)・プレシジョン ワン(アルコン)など


タイプ②「高Dk/tシリコーンハイドロゲル」

酸素透過率をさらに高めた素材です。 Dk/t 120〜160程度で、長時間装用・ドライアイ・アレルギーが強い方に特に向いています。

代表的なレンズ: ワンデー オアシス MAX(Dk/t 121)・アキュビュー オアシス(Dk/t 147)など


タイプ③「ウォーターグラジェント(水分傾斜型)」

最も革新的な素材設計で、レンズの中心部はシリコーンリッチ(高酸素)・表面に向かって含水率が高くなる二層構造です。 表面含水率が最大80%という驚異的な数値で、まばたきの摩擦を極限まで減らします。

代表的なレンズ: デイリーズ トータル ワン(アルコン)・ワンデー オアシス(J&J)など


シリコーンハイドロゲルが「向いている人」「あまり関係ない人」

シリコーンハイドロゲルはすべての人に必要かというと、実はそうではありません。 自分がどちらに当てはまるかを確認してみましょう。

シリコーンハイドロゲルを「特に強くおすすめ」する方

  • [  ] 1日8時間以上コンタクトをつけている(長時間装用者)
  • [  ] 夕方になると目が乾く・充血する(ドライアイ傾向)
  • [  ] 花粉症・アレルギーがある
  • [  ] パソコン・スマホを長時間使用する仕事・生活スタイル
  • [  ] コンタクトをすると目が疲れやすい
  • [  ] 眼科で「角膜の状態が良くない」と言われたことがある
  • [  ] 妊娠中・授乳中でより目への負担を減らしたい

「従来型ハイドロゲルでも問題ない可能性が高い」方

  • [  ] コンタクトの装用時間が6時間以内と短い
  • [  ] 乾き・充血などの症状がほとんどない
  • [  ] 週3日以下の使用(たまにしかつけない)
  • [  ] 目に特別な問題がないと眼科で確認済み

ただし「今は問題ない」からといって将来的に問題が出ないとは限りません。 特に長く使い続ける方は、シリコーンハイドロゲルへの移行を検討することをおすすめします。


「高いから選ばない」は本当にお得なのか——コスト面から考える

「シリコーンハイドロゲルは高いから、安い従来型で十分」という判断は、長期的に見て本当にお得なのでしょうか。

目のトラブルにかかるコストと比較する

従来型ハイドロゲルを使い続けて目のトラブルが起きた場合のコストを考えてみましょう。

トラブル眼科受診・治療の費用目安
軽度の角膜炎数千〜数万円
細菌性角膜炎(重症)数十万円・長期治療
アカントアメーバ角膜炎数十万〜百万円超・数ヶ月の治療
コンタクト禁止期間の眼鏡費用数万円

1箱3,000円の差額が年間で数万円となっても、1回の重篤なトラブルの治療費とは比べ物になりません。

「安いコンタクトで目のトラブルが増える」コスト

また従来型ハイドロゲルによるドライアイ・充血・疲れ目が慢性化すると、目薬の費用・眼科受診費用が継続的にかかります。 「安いレンズ+目薬・眼科費用」「高いシリコーンレンズ単体」を比較すると、実は総コストが変わらないケースも珍しくありません。

コスパ最優先ならシリコーンの中でも「コスパ重視レンズ」を選ぶ

「シリコーンハイドロゲルは高い」というイメージがありますが、近年はコスパの良いシリコーンハイドロゲルレンズも増えています。

レンズ名素材Dk/t価格帯コスパ評価
プレシジョン ワンシリコーンHG100中程度★★★★★
マイデイシリコーンHG100中程度★★★★☆
ワンデー ピュア うるおいプラスシリコーンHG70比較的安い★★★★☆
ワンデー オアシス MAXシリコーンHG121高め★★★☆☆
デイリーズ トータル ワンシリコーンHG(WG)156高め★★★☆☆

主要シリコーンハイドロゲルレンズの「素材・コーティング技術」比較

各メーカーが独自に開発しているシリコーンハイドロゲルの技術をまとめます。 「素材名」「コーティング名」は別物であることに注意してください。

Johnson & Johnson(アキュビュー)

素材名特徴
シーアクワ テクノロジー保湿剤をレンズ全体に組み込んだ独自技術
HydraLuxe テクノロジー眼球のムチンと結合して涙を安定化
TearStable テクノロジー(MAX)涙と一体化してサラサラ表面を実現

Alcon(デイリーズ・エアオプティクス)

素材名特徴
ウォーターグラジェント中心低含水・表面80%含水の二層構造
Hydra-PEGPEGをレンズ表面に結合・涙親和性が高い

CooperVision(マイデイ・バイオフィニティ)

素材名特徴
Smart Surface テクノロジー0.003mmの超薄型親水層でしっとり持続
Aquaform テクノロジー保湿剤を素材内部に組み込む

「自分のコンタクトがシリコーンハイドロゲルかどうか」の確認方法

「今使っているコンタクトがシリコーンハイドロゲルかどうか」を確認する方法をお伝えします。

方法①「パッケージの成分表示を確認する」

コンタクトのパッケージには素材名が記載されています。 以下のキーワードがあればシリコーンハイドロゲルです。

シリコーンハイドロゲルのキーワード

  • シリコーンハイドロゲル
  • Silicone Hydrogel
  • ○○フィルコン(例:コムフィルコン・ファルフィルコン)
  • ○○フォコン(例:セノフィルコン・エナフィルコン)

従来型ハイドロゲルのキーワード

  • ハイドロゲル
  • ○○フィルコンA(一部の従来型)
  • HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)

方法②「Dk/tの数値で判断する」

パッケージにDk/tの記載がある場合:

  • Dk/t 60以上 → シリコーンハイドロゲルの可能性が高い
  • Dk/t 30〜59 → 従来型ハイドロゲルの可能性が高い

方法③「メーカーの公式サイトで確認する」

レンズ名でメーカーの公式サイトを検索すると、素材情報が掲載されています。 「○○(レンズ名) 素材」で検索するのが最も確実な方法です。


よくある質問(Q&A)——シリコーンハイドロゲルのギモンを解決

Q. シリコーンハイドロゲルのコンタクトをつけ始めたら目がかゆくなりました。なぜですか?

A. いくつかの原因が考えられます。

従来型から切り替えた直後は「慣れの違和感」が出ることがありますが、1〜2週間で落ち着くケースがほとんどです。 ただしシリコーンハイドロゲルの素材自体へのアレルギー反応(まれ)や、コーティング成分への反応が起きることがあります。 2週間以上症状が続く場合は眼科に相談してください。

Q. 2WEEKのシリコーンハイドロゲルと1DAYの従来型ハイドロゲル、どちらがいいですか?

A. 基本的には「1DAYのシリコーンハイドロゲル」が最善ですが、選択肢がその2つなら状況によります。

長時間装用・乾き・アレルギーが気になる方は2WEEKのシリコーンHGを正しくケアして使う方が有利なケースがあります。 使用頻度が週3日以下・短時間装用であれば1DAYの従来型でも問題ないケースがあります。

Q. ハードコンタクトにもシリコーンハイドロゲルはありますか?

A. ハードコンタクト(RGPレンズ)はそもそも素材自体に酸素を通す性質があるため、ソフトレンズのような含水率への依存がありません。

現代のRGPレンズのDk/tは非常に高く、シリコーンハイドロゲルのソフトレンズに匹敵します。 そのためハードコンタクトに「シリコーンハイドロゲル」という分類はありません。

Q. シリコーンハイドロゲルは目に合わない人もいますか?

A. います。

まれにシリコーンHGの素材・コーティングが合わず、充血・かゆみが増す方がいます。 また従来型の高含水ハイドロゲルの方が装用感が好ましいと感じる方もいます。 「シリコーンHGが必ず全員に合う」ということはなく、眼科でのフィッティング確認・試し装用で自分に合う素材を見つけることが重要です。

Q. カラコンにもシリコーンハイドロゲルはありますか?

A. はい、増えてきています。

以前はカラコンの多くが従来型ハイドロゲルでしたが、近年はシリコーンハイドロゲル素材のカラコンも市販されています。 アレルギー体質・ドライアイ傾向の方がカラコンを選ぶ際は、シリコーンHG素材かどうかを確認することをおすすめします。


まとめ:「シリコーンハイドロゲル」を理解してから選ぶと、コンタクトライフが変わる

この記事でお伝えしてきたことを最後に整理します。

ハイドロゲルvsシリコーンハイドロゲル 総まとめ

比較項目従来型ハイドロゲルシリコーンハイドロゲル
酸素透過率(Dk/t)10〜50(低い)60〜200(高い)
乾燥しやすさ高い(水分に依存)低い(水分に頼らない)
汚れの付着やや多い少ない(コーティングあり)
長時間装用の安全性低い高い
感染リスク(酸欠由来)高め低め
価格安い高め

シリコーンハイドロゲルを選ぶべき方

長時間装用・乾き目・アレルギー・デジタル疲労・ドライアイの方——この条件に当てはまる方は、今すぐシリコーンハイドロゲルへの切り替えを検討することをおすすめします。

「なんとなく選んでいた」から「理由があって選んでいる」へ

この記事を読む前と後で、コンタクトの見方が変わりましたか?

「シリコーンハイドロゲルを選んで」という言葉の意味が、今日からは「自分の目に必要な理由がわかっているから選ぶ」という言葉に変わるはずです。

素材を知ることで、コンタクト選びが「なんとなく」から「根拠のある選択」に変わります。 その変化が、長期的な目の健康を守ることにつながります。

まず今日できることを一つ——今使っているコンタクトのパッケージの素材名を確認すること。

シリコーンハイドロゲルでなければ、次の購入時に切り替えを検討してみてください。 あなたの目が、より快適でより健康でいられることを、現役検査員として心から応援しています!


「素材を初めてちゃんと理解しました!」「シリコーンHGに変えてみます」など、ぜひ教えてくださいね💕 みなさんの声がわたしの励みになります!

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